不登校のきっかけについて

近年、不登校生が増えていると言われています。きっかけは様々で、何かすればすぐに登校できるものでもありません。実は最近では、本人が感じる原因として「無気力」や「不安」をあげる生徒が増えています。この記事では、中学校の不登校において、その人数や原因、最後にかかわりについてもお話しします。

不登校生徒の人数は?

文部科学省「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、中学校における不登校生徒数は全国で127,922人(前年度119,687人)、これは中学校在籍生徒数全体の3.94%を占めています。つまり40人学級であれば、クラスに1人から2人は不登校を選んでいることになります。

一方、推移をみてみると、平成3年度の中学校における不登校生徒数は、54,172人(同1.04%)であったのが、平成10年度に10万人を突破、その後増減を繰り返し、平成24年に91,446人(同2.56%)まで減少したものの、その後は増加し続けていいます。

しかしながら今後は、コロナ禍の影響を受け、人数も推移もこれまで以上に大きく動いていくことが予測されます。

不登校の原因は?

さて不登校の原因についてですが、同じく文部科学省の同調査結果をみてみましょう。調査内容ですが、「学校」「家庭」「本人」の3つの状況にわけていますが、解答は全体で主たる要因を一つだけ選択してもらっています。

学校に係る状況

・いじめ 0.3%
いじめを除く友人関係をめぐる問題 17.2%
・教職員との関係をめぐる問題 1.2%
・学業の不振 8.5%
・進路にかかる不安 1.3%
・クラブ活動、部活動等への不適応 0.9%
・学校のきまり等をめぐる問題 1.1%
・入学、転編入学、進級時の不適応 3.9%

家庭に係る状況

・家庭の生活環境の急激な変化 2.9%
親子の関わり方 7.5%
・家庭内の不和 1.9%

本人に係る状況

・生活リズの乱れ、あそび、非行 8.6%
無気力、不安 39.5%

上記に該当なし 5.4%

以上のとおり、要因として一番多かったのが、本人に係る状況の「無気力、不安」、続いて学校に係る状況の「いじめを除く友人関係をめぐる問題」という結果が出ています。

おそらくみなさんは、要因として一番多いのは、いじめを含む友人関係とのトラブルだと思ったのではないでしょうか?しかし最近では、この数値で見る限り「無気力、不安」が「いじめを除く友人関係をめぐる問題」の倍以上の結果となっています。さらに「いじめ」を要因としたものは0.3%で、ほぼ無いと言っていいでしょう。

しかし、ここで注目していただきたいのが、「無気力、不安」は本人に係る状況のくくりに含まれています。無気力や不安は本人に依存するものかもしれませんが、無気力や不安となったきっかけがあるはずで、それは外部に依存するものもあるでしょう。

もう一つここで、同調査結果の平成30年度版も見てみましょう。令和元年度版と少々異なったくくりで調査結果がまとめられており、少し見方が変わってきます。

以下、公立中学校に関する調査結果に絞りますが、「本人に係る要因」は次の通りです。

本人に係る要因(1つを選択)

・「学校における人間関係」に課題を抱えている。18.5%
・「あそび・非行」の傾向がある。4.1%
「無気力」の傾向がある。30.6%
「不安」の傾向がある。32.2%
・「その他」14.7%

ご覧の通り、同じく「無気力」や「不安」が原因で不登校を選ぶ生徒が多いのが見てとれます。

そして、以上の要因について更に理由を区分した調査結果が、次になります。

まず1つ目の「学校における人間関係」に課題を抱えている。の理由は以下の通りです。

「学校における人間関係」に課題を抱えている。(複数回答可)

・いじめ 2.1%
いじめを除く友人関係をめぐる問題 74.4%
・教職員との関係をめぐる問題 6.2%
・学業の不振 10.9%
・進路にかかる不安 2.3%
・クラブ活動、部活動等への不適応 4.8%
・学校のきまり等をめぐる問題 1.8%
・入学、転編入学、進級時の不適応 5.6%
・家庭に係る状況 12.7%
・該当なし 2.5%

最多は、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」ですが、ここでも「いじめ」が2.1%とかなり少ないのがわかるでしょう。

2つ目の「あそび・非行」の傾向がある。の理由は以下の通りです。

「あそび・非行」の傾向がある。(複数回答可)

・いじめ 0.1%
・いじめを除く友人関係をめぐる問題 9.6%
・教職員との関係をめぐる問題 3.6%
学業の不振 28.3%
・進路にかかる不安 3.1%
・クラブ活動、部活動等への不適応 1.2%
学校のきまり等をめぐる問題 28.4%
・入学、転編入学、進級時の不適応 2.5%
家庭に係る状況 51.2%
・該当なし 7.7%

3つ目の「無気力」の傾向がある。の理由は以下の通りです。

「無気力」の傾向がある。(複数回答可)

・いじめ 0.1%
・いじめを除く友人関係をめぐる問題 12.6%
・教職員との関係をめぐる問題 1.3%
学業の不振 35.7%
・進路にかかる不安 5.1%
・クラブ活動、部活動等への不適応 2.1%
・学校のきまり等をめぐる問題 3.4%
・入学、転編入学、進級時の不適応 6.6%
家庭に係る状況 39.2%
・該当なし 13.6%

4つ目の「不安」の傾向がある。の理由は以下の通りです。

「不安」の傾向がある。(複数回答可)

・いじめ 0.2%
いじめを除く友人関係をめぐる問題 33.4%
・教職員との関係をめぐる問題 2.1%
学業の不振 25.3%
・進路にかかる不安 8.5%
・クラブ活動、部活動等への不適応 2.8%
・学校のきまり等をめぐる問題 1.9%
・入学、転編入学、進級時の不適応 10.6%
家庭に係る状況 25.9%
・該当なし 11.8%

最後に「その他」の理由は以下の通りです。

「その他」(複数回答可)

・いじめ 0.2%
・いじめを除く友人関係をめぐる問題 10.7%
・教職員との関係をめぐる問題 1.4%
・学業の不振 12.7%
・進路にかかる不安 3.1%
・クラブ活動、部活動等への不適応 1.4%
・学校のきまり等をめぐる問題 2.2%
・入学、転編入学、進級時の不適応 6.5%
家庭に係る状況 45.3%
・該当なし 29.8%

以上、平成30年度の同調査は、「無気力」と「不安」とに分けられており、「無気力」の理由として、「家庭に係る状況」「学業の不振」の順で多く、「不安」の理由として、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「家庭に係る状況」「学業の不振」の順で多くなっています。

これをみると、「無気力、不安」は本人に係る状況であっても、本人以外に係る状況も無視できないと言えます。友人関係をめぐる問題以外にも家庭内でのかかわり方や学業不振がきっかけで不登校を選択する生徒も少なくないことに、家庭も学校も一層注目すべきでしょう。

たとえば家庭内であれば、本人にプレッシャーや不安をかけないよう、もう少し心遣いをしてみるとか、学校であれば、学業不振という不安を取り除くためにも「学び直し」に一層力を入れるなどの対応が必要になってくるでしょう。

不登校とのかかわりについて

不登校になるきっかけは人さまざまですから、救ってくれる人との出会いや、救われるきっかけとなる言葉やタイミングも人さまざまです。不登校の状況は劇的に変わるものではありません。それならば、無理に学校に行かせようとしないという判断も時には必要です。無理に学校に行かせないのですから、家庭と学校は何もしなくてもいいことになります。実はそれが本人にとって今一番必要なことかもしれません。

もちろん、本当に何もしないわけではありません。しばらくの間、温かく見守ってあげることです。自分自身と向き合い、結局は自分で考えることが解決につながることもあります。たとえば「休んでもいい」「行きたくなったら行けばいい」と言葉でなくても態度で示し、親としては辛いでしょうが、少し離れて様子を見てみるという方法もあります。

タイミングを待たずともいつの間にか不登校というものが自分の中で自然に問題ではなくなったという人もいます。親の焦りは子どもの焦りに繋がります。高校への進学に通信制高校も視野に入れるなど、進路への不安についても軽くすることができればそこから解決の糸口が見つかるかもしれません。


この記事は、大阪府認可の通信制高校|英風高等学校が執筆しています。

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