通信制高校とは?|レポート・スクーリング・テストで単位を取得する

「通信制高校とは何か?」という疑問を抱く方は少なくありません。通信制高校は、限られた登校日数と自宅での学習を組み合わせて、レポートの提出などを通じて卒業に必要な単位を取得していきます。この記事では、通信制高校とはどのような学校なのかを説明します。

通信制高校の登校日数は?

まず、通信制高校でも、一定の日数は必ず登校して授業(スクーリング)を受ける必要があり、それが無いと卒業はできません。そして、授業を受けるための施設もしっかりと存在します。

しかし、全日制の高校と比較すると、毎日登校する必要はなく、週に1〜2日の登校から年間に数日程度の登校で卒業が可能な学校もあります。全日制のように毎日登校するコースを設けている学校も存在しますが、一般的には自宅での自学自習が主な学習スタイルとなります。

また、通信制高校には「広域」と「狭域」の二つの形態があります。広域通信制高校は、3つ以上の都道府県から生徒を受け入れる学校で、一方、狭域通信制高校はその学校の本校が所在する都道府県と、隣接する1つの都道府県からの生徒を受け入れます。

通信制高校の学校数・生徒数は?

文部科学統計要覧(令和5年版)のデータによると、全日制や定時制の高校数は全国的に減少傾向にありますが、それとは対照的に通信制高校の数(独立校+併置校)は増加しています。平成7年時点で93校だった通信制高校の数は、ほぼ横ばいの状態が続いていましたが、平成12年時点で113校に増え、その後急速に増加し、令和4年には274校となっています。特に増加が顕著なのが私立の通信制高校で、平成7年には約25校だったものが、令和4年には196校となり、この29年間で実に約8倍増加しました。

次に、通信制高校の生徒数について見てみましょう。平成7年には153,983人だった通信制高校の生徒数は、令和4年には238,267人となり、この間に84,284人増えました。現在では、全国の高校生の約13人に1人が通信制高校を選ぶという計算になり、通信制高校が近年ますます注目されていることが分かります。

通信制高校を選ぶ理由は?

通信制高校を選択する主な理由の一つは、全日制高校の毎日の出席に不安を感じることで、これは不登校を経験した生徒たちに特に見られます。その他にも、自己実現や健康上の理由などから通信制高校を選ぶ生徒もいます。

全日制高校と比較すると、通信制高校の生徒数は少なく、そのために通信制高校に入学する生徒たちの理由が特殊だと誤解されることがあります。しかし、それは一部の見方に過ぎず、多様性を求める現代社会では、通信制高校を選択する理由を特殊と見るのは不適切かもしれません。

最近の通信制高校では、中学卒業後、すぐに通信制高校に入学する新卒生が多くを占めるようになり、中学校卒業後の進学先として通信制高校がより一般的に認知されるようになっています。しかしながら、転入生も決して少なくはありません。

通信制高校での学習方法は?

全日制高校や定時制高校では、平日の日中や夜間に学校へ登校し、教室での一斉授業を通じて学習を行います。通信制高校では、学校への登校日数が少ないことから、基本的に自宅での自学自習が中心となります。では、具体的に通信制高校での学習はどのように行われるのでしょうか?次に、その学習方法について詳しく見ていきましょう。

スクーリング(面接指導)

通信制高校における授業形式は「面接指導」と呼ばれます。受験や就職活動の際の面接とは異なり、全日制高校のように教室で先生が授業を行う形式を指します。この面接指導は一般的に「スクーリング」と呼ばれます。

ただし、スクーリングはどこでも実施可能な訳ではなく、基本的には学校が認可を受けた都道府県にある本校で受けることが必要です。そのため、通信制高校を選ぶ際には、学校がどの都道府県で認可を受け、どの都道府県でスクーリングを受けるべきかを事前に確認しておくことをおすすめします。

また、全日制高校のように、一日の全時間が授業で埋まっているわけではなく、履修している科目に応じてその日のスクーリングの時間数が変わります。朝が苦手な生徒に配慮し、すべてのスクーリングを午後から開始する学校も存在します。

このスクーリングは、各教科ごとに取得すべき単位数に基づき必要な回数が決まります。例えば、「国語」の教科で3単位取得する場合、国語のスクーリングは1単位あたり1回出席が必要となるため、合計で3回のスクーリングに出席する必要があります。

レポート(添削指導)

添削指導は一般的に「レポート」と呼ばれます。自宅を中心に、学校でもレポート課題に取り組むこともできます。このレポートは、一見すると難しいイメージを持つかもしれませんが、実際には学校から出される宿題のようなもので、スクーリング、教科書、インターネットの動画等で学んだ内容についての問題に解答し、自身の理解度を確認する小テストのようなものです。

解答が終われば、レポートを学校に提出します。提出方法としては紙で郵送する方法が主流ですが、最近ではタブレット等を利用し、解答したレポートを直接オンラインで送信するシステムを導入している学校もあります。

このレポートについても、スクーリングと同様の考え方で、各教科ごとに取得すべき単位数に基づき提出すべきレポートの数が決まります。例えば、「国語」の教科で3単位取得する場合、国語のレポートは1単位あたり3枚を提出する必要がありますので、3単位で合計9枚のレポートを提出することになります。

テスト(単位認定試験)

各教科ごとに決められた回数のスクーリング出席とレポート提出が無事終了したら、いよいよ単位認定試験(テスト)が待っています。全日制高校でいう定期試験と同じような形式だと思っていただければよいでしょう。単位認定試験というと少々難しく感じるかもしれませんが、教科書やインターネット講座などの学習を通じてレポートを提出し、スクーリングにしっかりと出席していれば、試験に合格することは特に難しいことではありません。もし万が一、試験に不合格となった場合でも、追試験等で再度チャレンジすることが可能な学校がほとんどですので、ご安心ください。

以上のスクーリング、レポート、単位認定試験のプロセスを無事終了できたら、単位取得となります。

通信制高校を卒業する条件は?

通信制高校では、スクーリング、レポート、テストを通して単位を修得していきます。ただし、単に好きなだけ単位を修得すればよいというわけではありません。卒業には、必要な単位数を確実に修得しなければなりません。また、その他にも卒業するにはいくつかの条件が必要です。それらの条件は次のとおりです。

・74単位以上の単位取得(必履修科目を含む)
・3年以上の在籍
・30単位時間以上の特別活動への参加

上記で述べた「3年以上の在籍」は、通信制高校が学年制ではないため、4年以上かけて卒業することも可能です。(ただし在籍期間に上限がある学校もあります)つまり、テストに不合格となったからといって進級できないわけではなく、自身のライフスタイルに応じて自分のペースで学習を進められ、高校卒業資格を取得することができます。この特徴が通信制高校の魅力の一つですが、可能な限り3年間で卒業できるように、適切な学習計画を立てることが重要です。

そして、「30単位時間以上の特別活動」は、全日制高校で言うところのホームルームや修学旅行などの学校行事を指します。ただし、通信制高校の場合、登校日数が少ないため、様々な特色のある特別活動が行われている学校もあります。

なお、1単位時間というのは1回の授業が50分という意味です。したがって、30単位時間というのは、50分の授業が30回あるということを示しています。30時間というと60分が30回になってしまうので、単位時間という表現を使っています。

以上が通信制高校についての基本的な説明ですが、まだ理解できない点があるかもしれません。わからないことがあれば、実際に学校見学や個別相談会などに参加し、担当者に質問してみることをお勧めします。

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この記事は、大阪府認可の女子だけの通信制高校|英風高等学校が執筆しています。