近年、通信制高校への注目が急速に高まっています。
かつては限られた選択肢として見られていた通信制高校ですが、現在では全日制の学校法人や株式会社立の学校、さらには有名大学系列の学校までが新たに参入する時代になりました。
オンライン学習やデジタル教育への関心も高まり、「多様な学び方」という言葉とともに、通信制高校が語られる場面も増えています。
通信制高校が社会的に注目されること自体は、決して悪いことではありません。多様な学び方が認められる流れは、これからの時代に必要なことでもあります。
一方で、長年、通信制高校やそれに準ずる教育の現場に携わってきた立場としては、少し複雑な思いもあります。
かつて通信制高校は、決して高く評価されていたわけではありません
今でこそ通信制高校は注目される存在になりましたが、以前からそのように見られていたわけではありません。
長い間、通信制高校には、
- 特別な事情がある生徒が通う学校
- 学習面に不安がある生徒のための学校
- 一般的な学校とは少し違う学校
といったイメージが向けられることもありました。
実際には、生徒一人ひとりにさまざまな背景があり、それぞれが前向きに学ぼうとしているにもかかわらず、社会全体として十分に理解されていたとは言い難かった時代もあったと思います。
大学進学等においても、通信制高校出身というだけで慎重に見られる場面がなかったとは言えません。
もちろん、すべての大学等がそうだったわけではありません。
しかし、通信制高校が現在ほど前向きに評価されていた時代ではなかったことも事実です。
それでも現場では、教育を積み重ねてきました
通信制高校の教育は、決して簡単ではありません。
「自由」「オンライン」「自分のペース」といった言葉だけでは語れない現実があります。
登校が難しかった経験を持つ生徒、不安を抱えている生徒、環境を変えて再出発しようとしている生徒など、多様な背景を持つ生徒たちと日々向き合いながら教育を行っています。
だからこそ、
- 学習を継続する力
- 日々の生活リズム
- レポート提出の管理
- スクーリングへの出席
- 生徒との信頼関係
- 保護者との連携
- 進路指導
こうした一つひとつを丁寧に積み重ねていく必要があります。
特に、通信制高校では「自由」であること以上に、「継続できる環境」を整えることが重要です。
そのためには、
- 落ち着いた校風
- 一定の規律
- 安心して学べる教室環境
- 学校としての一貫した教育方針
が必要になります。
通信制高校は、単に登校日数が少ないだけの学校ではありません。
長年、多くの学校が試行錯誤を重ねながら、生徒一人ひとりと向き合い、積み重ねてきた教育の現場です。
通信制高校が注目される今だからこそ
少子化が進む中で、生徒の学び方はこれからさらに多様化していくことでしょう。
従来の全日制高校中心の価値観だけでは対応できなくなり、通信制高校という選択肢が広がっていく流れも自然なことなのかもしれません。
しかしながら、通信制高校は単なる「新しい市場」ではなく、教育の現場です。
生徒一人ひとりが抱えている背景も悩みも違います。
だからこそ、本当に大切なのは、
- どのような教育理念で学校を運営するのか
- どのような環境をつくるのか
- 生徒とどのように向き合うのか
- 学校として何を大切にするのか
ではないでしょうか。
通信制高校が注目される時代になった今だからこそ、教育の本質そのものが問われているように感じます。
教育の価値は、流行だけでは決まりません
通信制高校は、突然生まれた新しい教育ではありません。
長い年月の中で、多くの学校が悩みながら、生徒と向き合いながら、少しずつ築き上げてきた教育です。
目立つ言葉や新しい仕組みだけで成り立つものではなく、毎日の積み重ねの上に成り立っています。
だからこそ、通信制高校が注目される今の時代だからこそ、改めて「教育とは何か」を丁寧に考えていく必要があるのではないかと思います。
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